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2015.01.04

熊野古道を歩く

世界遺産登録10年という節目に熊野古道を歩いてきた。
日本でも最古のうちに入るだろう、古の道だ。
今回はその当時の姿を残す貴重な”道”を一歩一歩大切に歩み進んできた。

出発の日、仕事を定時に終え、渋谷から新宿へと急ぐ。今回は夜行バスの出発が9時50分と早く、その日にやらなければならない仕事ができたらアウトだった。

伊勢行きのバスはガラガラで、荷物も車内に持って行けるほどだったが、席の前後が狭く左ひざを負傷;
ずっと曲げて一夜を過ごすと痛めるね。。。


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下車地は二見浦にした。これは古来神宮へ行く前に二見浦で身を清めるのがしきたりだったから。
その後も、もちろん外宮から内宮へしきたりどおりに進む道を選んだ。
いささか、早足でもったいなかったが「神宮は別格」という雰囲気を存分に感じ取ることができた。
神宮はまたいつか行きたい。


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もちろん、伊勢名物を食さないわけにはいかない。
正直伊勢うどんは期待していなかった。
けれども、タレに深い味わいがあり、
あ、美味しい。と驚いてしまう。


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伊勢で一泊し、翌日始発でいよいよ目的の熊野古道を目指す。
途中、滝原駅で下車し、滝原宮を参拝。
遷宮の建て替えが近かったこともあり、神宮よりもぐっと研ぎ澄まされた雰囲気が体の芯まで伝わってくる。


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滝原駅から船津駅で下車し、馬越峠を目指す。
船津駅では、馬越峠まで7kmと遠いのだけども、胸が高まり、どうしても早く歩きたくなってしまったのだ。
時期的なこと(当日はクリスマスイブ)もあり、誰もいない古道は静まり返り、しんしんと冷たい空気に満たされていた。つま先から感じ取る冷たい石畳の表面は苔むして遥かな時を思い巡らせるに十分。
馬越峠にたどり着くと、天狗倉山へ登るルートに分岐する。やや急登だったが、写真のように美しい尾鷲の町並みを一望にできる。
今夜の宿を(といっても、素泊まりの安宿)とっているので、どんな発見、出会いがあるだろう。と期待が高まる。
尾鷲の街は古い港町の趣を残していて、古い商店や、乾物屋、銭湯などの木造家屋が長年の潮風にさらされ、墨のように黒々と変色していた。

夕食は贅沢に寿司屋に入り、上寿しを平らげる。
大将は気前よく寿し2カンと、名物のお菓子、これまた名産のみかん3個もくれた。
クリスマスイブに一人で旅をしていることをたいそう不憫に感じたらしく、すこしでも思い出にしたかったそうだ。
仕事で苦しい時、助けてほしいとか、兎角孤独に耐えられずに誰かを心に思うこともある。しかし、今まで知らなかった人がこうして良くしてくれることは旅の良いところだ。
一時、心が満たされる。


翌日はまだ暗いうちからホテルを出て、八鬼山峠を経て三木里から電車で新宮を目指す。
なかなかの難所と聞く八鬼山峠。標高は大したことはないが、当日は低気圧の前線が頭上にあり、北風が冷たい。遥か昔の旅人はこういった日、冷たく滑る石畳に手を焼いただろう。


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新宮市では、熊野速玉大社と神倉神社に参拝をし、眠りにつく。
翌日、また暗いうちから出発し、海岸線を歩き那智大社を目指す20kmの道のり。
那智大社の参道は写真のように美しい。
熊野古道をPRする写真はこの道を使うのだが、このようにしっかりと綺麗に石が組まれているのは那智大社の参道のみである。
熊野古道を歩いた感覚からすると、このような石畳は熊野古道らしくないな。


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熊野速玉大社のときも感じたことだが、熊野那智大社にたどり着いて達成感に浸ったものの、社の雰囲気は神宮の別格な雰囲気からすると、少々弱い。
遥か昔は深い自然に威厳を感じたのかもしれないが、今では道も大きく、観光地と化していた。
この日は那智大社すぐ下の民宿に泊まり、翌日熊野大社までの30kmを歩く。


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那智から熊野大社までは大雲取、小雲取と二つの山を越えてゆく。一般的には間の小口という集落で一泊するのだが、休みがあまりないので、1日で踏破することとした。
装備にもよるけれど、30kmは大した距離ではない。ただ、ルートの正確な標高差を入手できなかったので、少々不安があり、できる限り早い出発をしたほうが安全だ。

翌朝は6時に宿を出た。日の出は7時。やっぱり真っ暗。。。それでもゆっくり那智大社まで登ると、青岸渡寺脇の熊野古道入り口は真っ暗。

絶対お化け出るわ。。。;

古の道、行き倒れの旅人、お寺の脇。
これだけそろっているのだもの。出ない訳がない。そう思いながらもヘッデンを点灯して登り始めると、
「チリッン」、「チリリッン」と音が森の中からする。。。。
出た、これ、、、
度々立ち止まりながら音を確認するが、やっぱり森から音がするのである。
孤独は不安の良い餌だ、ありえないことでも人間を支配していく。心を鎮めて真っ暗な森を見つめると、遠くにヘッデンの光が、、、同じ登山者の熊鈴だったのである。

恐怖を支配できればあとは現実を楽しむ準備が出来上がる。
そこからの道のりは辛くとも楽しかった。
小口に10時と、予定より30分早く到着すると、そこから4時間かかるという熊野大社までの道を半分で踏破した。


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熊野大社参拝後は大日越えをし、最終日の宿、日本最古の温泉。湯の峰温泉にたどり着き、一人祝杯をあげた!

今回の旅をとおして感じたことは、遥か昔の道が残っているこの日本の懐の広さ。土地柄の違い、人の変わらぬ心など。
仕事では、戦う道を選択すると、落胆や孤独、正義の本質とか、物事を複雑に感じ取り、一人苦しくなることばかりの一年だった。だが、旅はいつもシンプルで、美しい発見がある。日本はどこか変わらないものを変化しながらも残している。尊いそんなものを目の当たりにできる旅は非常に貴重な体験だ。

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